北海道大学 遺伝子病制御研究所 疾患制御部門
Research Section of Disease Control,
Institute for Genetical Medicine, Hokkaido University

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免疫制御分野教授  西村孝司


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分野研究課題:免疫バランス制御法の開発とその癌、免疫病治療への応用

 我々の健康維持にとって重要な働きをもつ免疫系は、様々な細胞群で構成されている。 抗原提示細胞とヘルパーT細胞間のサイトカインや相互作用を介して賦活化される細胞性免疫(Type1免疫)と体液性免疫(Type2免疫)の二つに大きく分けられる。 最近では新しいサブセットTregやTh17も報告されている。 通常これらの免疫担当細胞群が協力し合い、外来由来の異物や自己にとって好ましくない細胞を排除している。 一方、これらの免疫バランスが破綻すると、様々な自己免疫疾患やアレルギー疾患、癌の発生等に至る。 従って、免疫バランス制御法の開発は癌や免疫病治療への応用にとって重要である。




研究課題:Type1/Type2免疫バランス制御法の開発とその癌、免疫病治療への応用
 免疫制御分野においては、免疫調節の中枢を担うType1/Type2免疫バランスの 制御機構を解明して、癌、アレルギー、自己免疫病などの疾病に対する新しい免疫療法を開発することを目的として研究を展開している。



(1)癌免疫に関する研究
 癌抗原特異的なヘルパーT細胞の活性化を軸とした癌免疫療法の開発を目指している。 本研究に関わるテーマとして、(a)クラスII結合性癌抗原の単離;(b)樹状細胞を用いた癌ワクチン療法の開発(がんTR事業に参加し、第I相臨床試験を遂行中); (c)癌拒絶反応におけるTh1, Th2細胞の意義;(d)免疫監視機構の破綻の作用機序解明と癌治療への応用; (e)Th1細胞療法の開発などの研究がある。



(2)免疫病治療に関する研究
 様々な免疫病はType1/Type2免疫バランスの不均衡によって発症することが解明されてきている。 本研究室でも、劇症肝炎がTh1細胞依存的に発症すること、気道アレルギーがTh2細胞のみならずTh1細胞でも発症することなどを証明し、報告してきた。 本研究では、これまで開発した皮膚炎、アレルギー、肝障害、動脈硬化、自己免疫病、移植片拒絶反応などの動物モデルを利用して免疫疾患発症における Th1細胞、Th2細胞の意義を明確にすると共に、Type1/Type2免疫バランスの制御を利用した新たな免疫治療法の開発を目指している。



(3)免疫バランス制御遺伝子の解明
 Type1/Type2免疫バランスは遺伝子支配を受けていることが純系のマウスにおいて明確にされてきている。 すなわち、同じ条件で感染あるいはアレルゲンに曝露させても、遺伝的に異なる個々の個体によって疾病の発現頻度や重症度は異なることが示されてきている。 従って、免疫バランス制御遺伝子を明確にできれば、個々の免疫体質に合わせた新しい治療法(テーラーセラピー)の開発が可能になる。 本研究室では、様々な免疫疾患マウスモデルを確立するとともに、その原因遺伝子の同定を試みている。 さらにDNAアレイ法等を用いて免疫バランス診断法の開発に関する研究にも現在取り組みはじめている。

免疫制御分野 テーマ研究例

1. 免疫バランス制御機能に関する研究
2. 癌免疫療法及び遺伝子治療に関する研究
3. 免疫バランス破綻によるアレルギー、自己免疫病等の発症機序解明および免疫バランス制御による治療法の開発に関する研究
4. 抗原提示細胞(樹状細胞)を用いたワクチン療法の開発と臨床への応用
5. 免疫系と神経・内分泌系とのクロストロークに関する研究
6. T細胞の分化、増殖、活性化におけるシグナル伝達機能に関する研究
7. 遺伝子改変マウスを用いた免疫制御に関する研究


ROYCE' 健康バイオ研究部門

研究課題:新規生理活性物質による免疫バランスの制御と免疫疾患の克服
特任教授:西村孝司(兼任)、特任助教:佐藤崇之


【背景】

 近年、人類のめざましい発展の代償として環境破壊が深刻な問題となっている中で、人間の体の恒常性を担う上で重要な働きをもつ細胞性免疫(type1)お よび体液性免疫(type2)からなる免疫システムも破綻し始め、アレルギー患者の増加、がんの多様化、新たな感染症などの発症が増加している。
ROYCE'健康バイオ研究部門は、特に食の安全と人々の健康に貢献すべく、免疫バランスの制御を核とした研究開発を推進する寄付研究部門として2006年4月に (株)ロイズコンフェクトの寄付のもと開設された。そこで本研究部門では、人々が快適に暮らせる生活の創造に向けて、健康にとって重要な免疫バランスの制御による、 がん、アレルギー、感染症、自己免疫病などの免疫疾患の克服を目指す研究を行う。また、地域連携型産学官共同プロジェクトを通じて、研究成果の社会貢献にも寄与する。 研究は免疫制御分野との連携体制で推進する。

【研究内容】
1. チョコレート等の食品に含まれる新規生理活性成分の探索研究
 はじめに、チョコレート等などの食品の中に含まれ、免疫担当細胞に対して生理活性を有する物質をinvitro培養系にて探索する。 さらにその生理活性物質を単離し、分子の同定を行う。またその免疫担当細胞に及ぼす効果を詳細に検討し、活性の作用機序を分子レベルで解明する。 探索して得た生理活性物質の有用性を、マウスを用いた疾患モデルをもちいて検討しつつ、免疫バランス制御作用の生体内における機構解明を行うとともに、 免疫疾患の克服に対して有用かどうかを判断する。
2. 農畜産物や海洋資源からの機能性物質の探索
 前述の免疫バランスを制御する生理活性物質の探索を、農畜産物・海洋資源に広げて、それらの中から機能性物質の探索を行う。 同様にそれらを用いた治療モデルの作出を行う。
3. ヒト免疫バランスの検索法確立とその制御による免疫疾患克服
 ヒト免疫担当細胞の性状と免疫応答性を簡単に解析できる方法を確立する。 得られる情報から個人の免疫バランスを健常人と比較できるシステムを整備し、アレルギーやがん、感染症などの免疫疾患症の要因追求や予防法開発の研究を行う。 最終的に、前述より得られた免疫バランスを制御する新規生理活性物質を用いて、免疫疾患の克服を目指したいと考えている。
4. 花粉症対策を通した地域社会貢献
 免疫バランスの破綻により、現在日本国民の約40%は何らかのアレルギー症状を有しており、約20%はスギ花粉症で悩まされている。 幸い北海道、特に十勝にはスギが生息せず、十勝の上士幌町ではスギ花粉リトリート(疎開)ツアーが始まっている。 そこでスギ花粉症の人々の免疫バランスを健常人と比較検討しうるシステムを構築するとともに、花粉症発症の機序解明や予防法開発に関する研究を行う。 このスギ花粉対策事業は地域住民の健康に寄与する活動のみならず、北海道の健康バイオ産業の活性化に貢献できるものと期待される。
 以上の研究活動、社会貢献を通して、人が生きるために必要な「食」・「健康」・「環境」・「医療」を有機的に連携させた絶対基盤の構築を目指したいと考えている。






西村孝司教授と教室員 2010 8月 理学部ローンにて






北海道大学遺伝子病制御研究所 免疫制御分野
〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西11丁目
次世代ポストゲノム棟2階
TEL&FAX 011-706-7546
お問い合わせは、こちらまで。
imm-reg@igm.hokudai.ac.jp

Last Update 2012/5/8