所長挨拶

病気と遺伝子の関係を科学する

遺伝子病制御研究所(Institute for Genetic Medicine; IGM)へようこそ

遺伝子病制御研究所は、結核研究所を前身とする免疫科学研究所と医学部附属癌研究施設が統合して2000年4月に発足した北海道大学唯一の基礎医学、生命科学分野の研究を志向する附置研究所です。15ほどの研究室・施設があり、専属の研究スタッフと博士研究員、また、医学院、総合化学院、生命科学院、獣医学院からの大学院生、さらに、北大病院からの大学院生、総勢150名余りにて研究に励んでいます。2008年には「細菌やウイルスの持続性感染により発生する感染癌の先端的研究拠点」所謂「感染癌拠点」として文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定され、2022年度さらに6年間更新されました。感染癌は我が国の癌死亡者の20%以上の原因とされ、新規の革新的な診断法、治療法の開発、より広い研究者のネットワークの形成、さらに新興感染症・新規感染癌への備えが大切で、それらを解決することが研究所の研究目的です。

そのため、遺伝子病制御研究所では、感染癌のプロセスとその周辺領域の研究を実施しています。感染癌のプロセスは、感染、癌化、免疫反応、感染癌形成、炎症反応から誘導されます。そのプロセスの中で、染色体構造と転写、細胞分裂、細胞膜性質、オートファジーなどの変容も見られます。これらの研究課題に対応する第一線の研究者が、基礎研究、応用研究分野で独自のコンセプトを発表し、感染癌の撲滅を目指して日夜研究を実施しています。実際に、これらの研究活動から国際的にもインパクトのある論文を発表して、新学術領域研究や学術変革研究のリーダー、ムーンショット研究の代表者など大型研究費も獲得してきました。また、毎年、国内外の研究者と共同研究を実施し、感染癌関連の研究者が集まる共同利用・共同研究拠点シンポジウムを主催して研究者のネットワークの形成を推進しています。なおかつ、北大病院の研究者と実施した感染癌解析データ、炎症関連遺伝子データ、siRNAなど各種ライブラリー、最先端機器を共同研究者に公開するとともに、社会貢献にもつながる新型コロナウイルス関連の研究も研究所プロジェクト研究として実施しています。また、更なる感染癌研究力強化のためにピロリ菌や肝炎ウイルスを研究する3名の感染癌研究者も研究所に迎えました。

これらの取り組みを基盤に、北海道大学の研究力機能強化へ大きな貢献も行ってきました。研究所では、北海道大学機能強化事業である「フォトエキサイトニクス研究拠点事業」、「若手研究者支援事業」、「認知症研究拠点事業」にも参画しています。特にユニークなものは、毎年秋期に遺伝子病制御研究所が主催する先の「若手研究者支援事業」に関係する「北海道大学部局横断シンポジウム」です。2022年度実施した第8回シンポジウムでは、800人以上の高校生、若手研究者を主体とする参加者があり、学内38部局が参加しました。優れた若手主体の共同研究を推進するとともに、宝金総長が座長を担当し、2016年度ノーベル医学生理学賞受賞者である大隅良典先生(東京工業大学)が特別講演され、収録された講演は、北海道内の高校の授業に用いられました。

今後も遺伝子病制御研究所は、感染癌とその関連研究分野の研究を実施することで新規コンセプトを発表し、その成果をとして大型研究資金を獲得、様々な取り組みから北海道大学の機能強化に貢献してまいります。今後とも遺伝子病制御研究所の取り組みにご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

北海道大学遺伝子病制御研究所
所長 村上正晃

歴代所長

小野江 和則 平成12.4.1~平成14.3.31

高田 賢蔵  平成14.4.1~平成18.3.31

上出 利光  平成18.4.1~平成22.3.31

田中 一馬  平成22.4.1~平成24.3.31

高岡 晃教  平成24.4.1~平成28.3.31

村上 正晃  平成28.4.1〜令和2.3.31

田中 一馬  令和2.4.1〜令和4.3.31

村上 正晃  令和4.4.1〜