【研究成果】新型コロナウイルスに対する感染防御の新しい知見の論文発表

分子生体防御分野の高岡晃教教授、山田大翔助教らのグループが、北大、人獣共通感染症リサーチセンターの澤先生らのグループと共同研究を行い、その成果が、5月11日18時付けで米国の免疫学雑誌のNature Immunologyに公表されることが決定いたしました。

当グループはCOVID-19の原因となっているSARS-CoV-2に対する自然免疫のしくみに関する基礎的な研究を行い、 SARS-CoV-2のウイルスセンサー分子を同定し、それによる新しい感染防御の仕組みを明らかにしました。
今回の結果は COVID-19の予防や治療、あるいは重症化の予測という観点から重要な切り口になる可能性を提示しました。

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2021年05月12日お知らせ:2021年, 研究成果

【研究成果】腫瘍の多様性と可塑性における癌幹細胞の働きに関する総説論文を発表

幹細胞生物学分野の近藤亨教授は、腫瘍の多様性と可塑性について、癌幹細胞の知見を基に考察した総説論文を発表しました。

研究成果の概要

腫瘍は癌細胞と多様な正常細胞から構成されていることが病理観察から明らかにされていましたが、腫瘍発生に関わる様々な遺伝子・エピジェネテック変異の同定、癌幹細胞を頂点とした癌細胞ヒエラルキーの存在とその可塑性の発見、腫瘍微小環境における癌(幹)細胞と正常細胞のコミュニケーションに関わる研究、最新の細胞・組織培養法や解析技術の開発により、腫瘍が考えられていた以上に複雑な組織を構成していることが明らかにされ始めています。更に、この腫瘍の複雑さが治療抵抗性に関与していると推測され、その解明が癌根治に必要不可欠と考えられています。
本総説論文では、脳腫瘍幹細胞をモデルとして癌幹細胞の起源細胞と遺伝子変異の組み合わせによる癌幹細胞の多様性や可塑性を論じるとともに、癌幹細胞とその周辺細胞間のコミュニケーションに関わる最新の知見や単一細胞解析による癌幹細胞の性状解析の有効性と欠点について論じ、現時点で可能な癌幹細胞を標的とした新規治療法を生み出す方法論を利用した最新の研究成果についても言及しました。

本総説論文は、2021年1月14日(木)公開のSeminars in Cancer Biology誌のテーマ課題”Cancer Cell Heterogeneity and Plasticity: From Molecular Understanding to Therapeutic Targeting”(Guest editors: Prof. Dean G. Tang, Prof. Toru Kondo)にオンライン掲載されました。

2021年01月18日お知らせ:2020年, 研究成果

【研究成果】ショウジョウバエを用いたがん研究に関する総説論文を発表

がん制御学分野の山村凌大博士研究員、大塩貴子助教、園下将大教授は、ショウジョウバエの活用によって明らかになった腫瘍形成機構や様々ながん遺伝子型モデルハエの紹介、そしてそれらのハエを用いた最新の創薬研究について概説した総説論文を発表しました。

研究論文名: Tiny Drosophila makes giant strides in cancer research.
著者: 山村凌大、大塩貴子、園下将大
(北海道大学・遺伝子病制御研究所・がん制御学分野)
公表雑誌: Cancer Science, 2021 112:505-514
DOI: https://doi.org/10.1111/cas.14747
公表日: 2020年12月4日(金)

研究成果の概要

がんの疾病負荷は年々世界的に増加しており、世界の全死因の第2位となっています。過去数十年にわたり、培養がん細胞や遺伝子改変マウスなどの実験モデルが、がん研究の発展に大きく貢献してきました。最近では、これらの伝統的な実験系に加えて、ゼブラフィッシュ、線虫、ショウジョウバエなどが、がん研究を加速させる新たな実験動物として注目されています。このうちハエは、遺伝学的実験が容易で、安価・迅速に研究を実施できるなど、哺乳類を補完する多数の利点を備えています。私たちは最近さらに、ハエが哺乳類と類似した形質転換機序や薬物応答を示すことも見出し、個体レベルでの新規治療標的の同定や治療薬候補の同定にハエが大変有用な実験動物であることを示しました。
本総説論文では、これらを含めこれまでにハエががん研究分野で成し遂げた貢献について、遺伝子組換えハエの作出や薬物スクリーニングなどの具体例を挙げながら解説しています。

本総説論文は、2020年12月4日公開のCancer Science誌にオンライン掲載されました。

図:ショウジョウバエを用いた腫瘍形成機構の解明と新規がん治療法の開発
形質転換を起こす突然変異体の解析により、腫瘍の形成に関わる多数の遺伝子が同定された(①)。
一方、がん患者の遺伝子型を模倣した様々なモデルハエの作出が進んでおり(②)、それらを用いた個体レベルの薬物スクリーニングや化合物最適化によって、新たながん治療薬の候補が次々と誕生している(③)。

2020年12月04日お知らせ:2020年, 研究成果
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