北海道大学 遺伝子病制御研究所

研究所について

所長挨拶

病気と遺伝子の関係を科学する

遺伝子病制御研究所(Institute for Genetic Medicine; IGM)へようこそ

「がん」は遺伝子の異常によって引き起こされる代表的な疾患の一つですが、他にも様々な病気が遺伝子の異常や機能の違いによって引き起こされています。新型コロナウイルス が人類の新しい脅威として出現しましたが、これもウイルスの持つ遺伝子の働きが私達の細胞に悪影響を及ぼして発症へと至ります。従って病気の克服には関連する遺伝子の機能を解明することが非常に重要な戦略となっています。ある病気の患者さんに何らかの遺伝子の異常が見出されたとします。でも、この遺伝子の機能が分からなければ、細胞にどのような異常が生じているのか分かりません。従ってこの遺伝子の正常な機能をまず知ることが大切になって来ます。この積み重ねは細胞の正常な営みを知ることに繋がりますから、生物を知ることと病気を知ることに大きな隔たりはありません。生命の神秘を知ることは医学的な研究足り得るわけです。このような考え方のもと、私達の研究所では、「がん、免疫、感染、炎症」を主たるキーワードに遺伝子の機能やその異常と病気との関係を解明し、その成果を病気の治療法の開発へと繋げるべく研究活動を行なっています。

遺伝子病制御研究所は、免疫科学研究所(結核研究所を前身)と医学部附属癌研究施設が統合して2000年4月に発足しました。十数を越える研究室・施設があり、専属の研究スタッフと博士研究員、また、医学院、総合化学院、生命科学院、獣医学院の大学院生が、総勢100数十名の構成メンバーとなって研究に励んでいます。また、2008年には「細菌やウイルスの持続性感染により発生する感染癌の先端的研究拠点」として文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定されています。

研究活動の成果は世界的なレベルで重要かつオリジナルであることが求められます。これを達成するのは容易なことではありませんが、私たちは、日々努力を怠らず、世界から注目される研究所であることを目指して、邁進していきたいと思っています。

2020年4月
遺伝子病制御研究所
所長 田中 一馬