我々の亜鉛の研究は、2004年に原腸陥入における細胞運動(上皮ー間葉変換)に亜鉛トランスポーターが関与していることを見つけたことにより開始された(Yamashita et al, Nature, 2004)。この事実からサイトカインシグナルと亜鉛の関係が示唆された。今回免疫応答の要である樹状細胞の活性化が亜鉛によって制御されることを明らかにした。この事実は亜鉛が樹状細胞においてシグナル伝達の機能を有することを示したものである。亜鉛は従来必須栄養素として重要なからだの構成成分の一つと考えられていた。事実亜鉛を必要とする重要な酵素や転写因子がたくさん存在する。今回の成果は亜鉛が単なる栄養素としてだけでなく、ひろくシグナル伝達分子として作用する可能性を示したものである。亜鉛シグナルの世界の入り口に立つことになる。プレスリリース RIKEN RESEARCH
Kitamura, H., H. Morikawa, H. Kamon, M. Iguchi, S. Hojyo, T. Fukada, S.
Yamashita, T. Kaisho, S. Akira, M. Murakami and T. Hirano. Toll-like receptor-mediated
regulation of zinc homeostasis influences dendritic cell function. Nature Immunol.7:971-977, 2006 (Published online: 6 August 2006; | doi:10.1038/ni1373)
(Research Highlights in Nature, 17 August 2006 Nature 442, 722, 2006) (RIKEN RESEARCH September Vol.1 No. 3) (Spotlight of ACS Chemical Biology) (PubMed)