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3'mRNA-seqの概要

mRNAの3'末端に付随するポリ(A)テールを利用して、遺伝子の転写物の末端部分を標識し、シーケンシングする手法です。RNAのサンプル量が少なくても高感度かつ高精度に発現解析を行うことができるため、単一細胞や微量サンプルの解析に適しています。必要なリード数が少なくて済むため低コストでの解析が可能です。本解析室では、Lexogen社のQuantSeq 3' mRNA-Seq Library Prep Kit (FWD)でサンプル調整します。RNA-seqとの比較はこちら

値段

料金は以下の通りです(税込):

委託者の資格

以下のいずれかに該当する者が解析を委託することができます:

  1. 学内者(以下のいずれかに該当する者):
    • 北海道大学の職員
    • 北海道大学の学部学生、大学院学生、聴講生、科目等履修生その他の本学において修学をしている者
    • 北海道大学の研究生、受託研究員その他の本学において研究に従事している者
  2. 学外者(大学・公的機関):
    • 学術研究のために解析を委託する北海道大学以外の大学又は公的機関に所属する者
  3. 学外者(一般):
    • 研究開発等のために解析を委託する民間企業その他の法人に所属する者
サービス内容 学内者 学外者
(大学・公的機関)
学外者
(一般)
クオリティーチェック(必須) 11,100円 12,200円 12,800円
ライブラリー調製 13,500円 14,800円 15,700円
シークエンシング
(100万リードあたり)
800円 1,000円 1,200円
バイオインフォマティクス解析
(1検体あたり)
13,200円 14,400円 16,500円

※クオリティーチェックは、精製RNA受け取り時とシークエンシング前のライブラリーに対して2回必要となります。

料金計算例

1検体あたりの料金例(1000万リード、バイオインフォマティクス解析なしの場合):

  • 学内者の場合:
    • クオリティーチェック(2回分):22,200円(11,100円 × 2)
    • ライブラリー調製:13,500円
    • シークエンシング(1000万リード):8,000円(800円 × 10)
    • 合計:43,700円
  • 学外者(大学・公的機関)の場合:
    • クオリティーチェック(2回分):24,400円(12,200円 × 2)
    • ライブラリー調製:14,800円
    • シークエンシング(1000万リード):10,000円(1,000円 × 10)
    • 合計:49,200円
  • 学外者(一般)の場合:
    • クオリティーチェック(2回分):25,600円(12,800円 × 2)
    • ライブラリー調製:15,700円
    • シークエンシング(1000万リード):12,000円(1,200円 × 10)
    • 合計:53,300円
ライブラリーのクオリティーチェック(QC)について

シークエンス前のQCは、すべてのサンプルにおいて必須です。ただし、事前のライブラリーQCに限り、以下の条件を満たす場合にのみ省略も可能です:

  1. BioanalyzerかTapeStation、およびQubitによる解析結果を提出いただくこと
  2. サンプルを直接、当解析室まで持参いただくこと

上記以外の場合には、ライブラリーQCも当方で実施いたします。

納期

サンプル調整に3日間、シークエンスに2日間、バイオインフォマティクス解析に2日間かかるので最短で1週間かかります。混み具合にもよりますが、3週間程度を見込んでいます。

※シークエンスの実行について:1回のシークエンス実行には、P1試薬で合計1億リード、P2試薬で合計4億リードが必要です。ご依頼いただいた全サンプルの合計リード数が上記の必要リード数に満たない場合、他のユーザーとの相乗りとなり、他のユーザーからの依頼があるまで待機する必要があります。

サンプル要件

以下の要件を満たすRNAサンプルをご提出ください:

  1. 必要量:25ng/μL以上、合計100ng以上
  2. 品質基準:
    • A260/A280 > 1.8
    • A260/A230 > 1.8
    • Bioanalyzer 2100でRNA integrity number (RIN値) が7以上(できれば8以上が望ましい)
    • アガロースゲル電気泳動、もしくは、Bioanalyzerで、18s及び28sのバンドが明瞭で、分解物と思われるスメアがないこと
  3. 保存方法:-80℃で保存

解析結果の詳細

以下の解析結果を提供いたします:

  • 作業報告書
  • アラインメント、シークエンスクオリティーについてのまとめ
  • 遺伝子ごとのリードのカウントファイル(read number, TPM。EdgeRやDESeq2など用いてご自分で解析される場合には、read numberのデータを入力に用いてください。)

※以下の解析結果については、1検体あたりのバイオインフォマティクス解析料金が必要となります:

  • 2群間で遺伝子ごとに発現レベルを比較し、P値、FDR、Fold-changeをまとめた表
  • 主成分分析結果
  • ボルケーノプロット
  • ヒートマップ
  • パスウェイ解析の結果

※カスタム解析が必要な場合は、ご相談ください。

シークエンシング

  • シークエンサー:イルミナ NextSeq2000
  • シークエンシング条件
    • Read1: 125bp (119bpの配列に加えて6bpのPCR増幅によるartifactを除くためのUMIが含まれている。)
    • シングルエンドリード
    • 1検体あたり約1000万リード(=10Mリード。推奨リード数:500万リード以上)

Illuminaのナレッジベースによると、NextSeq2000の試薬 (P1, P2, P3, P4)は、カタログ値は100bpですが、実際には38bp、余分に読めるようにデザインされています。そのため、100bpの試薬を用いて合計で100bpの以上の長さのシークエンスを読むことが可能です。

※ シークエンシング結果のリード数が1000万リードに満たない場合でも、極端にリード数が少ない場合(100万リード未満)を除き、再度のシークエンシングは行いません。再度のシークエンシングが必要な場合は、別途シークエンシング料金が必要となります。

よくある質問

手法 RNA-seq 3'mRNA-Seq
増幅対象 全トランスクリプト 3’末端付近からポリA末端に向かって
シークエンシング 50bpのPaired-end(応相談) 125bpのSingle-end
他のライブラリーとの混合(Multiplex) 非推奨
Poly-A選択 最初のステップで行う cDNA合成時に行う
必要なRNA量 10ng–1μg 1ng–500ng
断片化 逆転写前に断片化 しない
コスト RNA-seqより安価

選び方の目安:
・遺伝子変異解析、スプライシングバリアントの検出、新規転写物の発見を行いたい場合は、RNA-seqが適しています。
・発現量解析を短時間・低コストで行いたい場合は、3’mRNA-seqがおすすめです。

精製RNAを提出してください。A260/A280 > 1.8、A260/A230 >1.8。Bionalyzer 2100でRNA integrity number (RIN値) が7以上を確認できるサンプルが推奨になっています(RIN値はできれば8以上が好ましい)。濃度は25ng/ul以上、合計で100ng以上、提出してください。アガロースゲル電気泳動、もしくは、Bioanalyzerで、18s及び28sのバンドが明瞭で、分解物と思われるスメアがないことをご確認ください。(分解しているサンプルを解析する必要がある場合は、ご相談ください)。サンプルは-80度で保存してください。

GACHAでは、以下の2回のクオリティーチェックを行います:

  1. 精製RNA受け取り時:Qubit、および、qPCRでサンプル濃度を測定するとともに、BioanalyzerでSampleのQualityをチェックします。
  2. シークエンシング前:ライブラリーのクオリティーチェックを行います。

これらのクオリティーチェックは必須項目となっており、料金に含まれています。

どの方法で用意されても構いませんが、例えば、ThermoFisher SCIENTIFICのキットPureLink™ RNA Mini Kit(カタログNo: 12183020)を用いることができます。

郵送する場合は、十分量のドライアイスを同梱した上で、冷凍便にて送付ください。ドライアイスは、郵送時間が30時間以内であれば3-4kg、2日であれば6-7kg、3-5日であれば8-10kgが目安となります。