NEWS

新着情報


2021年2月2日 科学技術振興機構『2020年度 創発的研究支援事業』に採択されました。

2020年12月1日 化学及血清療法研究所『2020年度 化血研若手研究奨励助成』に採択されました。


INTRODUCTION

はじめに

私たちの研究室は、「細胞が受け取った様々なシグナルをどのように情報処理してアウトプットへと変換するか」という問いに対し、(1)タンパク質の翻訳後修飾や局在制御、または(2)オルガネラ間コミュニケーションの立場から解決を目指します。

また本研究室では、(3)脳における神経と免疫の新たな機能連関(4)キイロショウジョウバエを用いた神経行動学についても研究を行っています。

これらの研究を通じて、生きものの「美しさ」を発見し、北海道の地から世界へ発信したいと考えています。

RESEARCH

研究内容

ウイルス感染に対する宿主防御機構の解明

哺乳類はウイルス感染すると、獲得免疫系を動かす前に、初期応答として自然免疫系を用いてウイルスに対抗し、 感染の拡大を抑止する。この自然免疫系においては、細胞内でウイルス由来のRNAを感知してシグナルを伝えるRIG-I-like receptorファミリーと、 そのアダプター分子IPS-1/MAVSが重要な役割を果たす。IPS-1はミトコンドリア膜上に主に局在し、これまでIPS-1の下流では インターフェロン発現誘導やアポトーシス誘導といった宿主応答が惹起されることが知られていた。 しかし、どのような感染の状況によって、またどのようなメカニズムによってこれらの宿主応答が使い分けられているのかについては不明であった。 当研究室ではIPS-1の新規の修飾や結合分子を同定し、この問題に迫っている。またウイルス感染に応答したアポトーシス誘導メカニズムも検討し、 新しい感染防御メカニズムを明らかにしつつある。

参考
-ASKファミリーによるウイルス感染防御機構の使い分けの発見 https://www.brh.co.jp/publication/journal/091/research/2.html
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00411.html

タンパク質カルボキシル化修飾の機能解析

タンパク質の機能はそのアミノ酸配列のみならず、翻訳後の様々な化学的修飾によっても制御されている。その中でもタンパク質のカルボキシル化修飾は、唯一の修飾酵素として知られるビタミンK(VK)依存性γ-カルボキシラーゼGGCXによってグルタミン酸残基とアスパラギン酸残基にカルボキシル基が付加される翻訳後修飾である。主に血液凝固や骨形成に関わる約20あまりの細胞外タンパク質が基質として知られている珍しいタンパク質機能制御機構であり、修飾を受ける細胞内タンパク質の存在はこれまで報告されていなかった。我々は「Ⅰ型IFN産生」と「アポトーシス誘導」を制御するミトコンドリア上抗ウイルス応答分子IPS-1が意外にもカルボキシル化修飾を受け、それによって二つの応答を使い分けていることを見出した(Okazaki et al., in preparation)。本研究室では、新規タンパク質機能制御機構としてのカルボキシル化修飾の包括的理解を目指す。

オルガネラ間コミュニケーションの機能解析

細胞内小器官(オルガネラ)が持つ様々な働きはそれぞれのオルガネラごとに行われることを基本としているが、異なるオルガネラ間のコミュニケーションによる機能連携が近年で大きく展開、発展し新たなパラダイムシフトとして世界的に取り組まれている。我々はミトコンドリア-ペルオキシソーム間、ミトコンドリア-ストレス顆粒における新たな相互作用を発見し、それらが細胞機能に重要な役割を果たす可能性を見出した(Tanaka et al., Journal of Cell Science, 2019; Aoyama et al., Journal of Immunology, 2020)。本研究室では、我々が見出したオルガネラ相互作用の更なる解析を行っている。

参考
-ペルオキシソームによるミトコンドリアの動態制御
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00128.html
-ウイルス感染時のミトコンドリアとストレス顆粒の相互作用
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP600565_U0A121C2000000/

脳における神経と免疫の新たな機能連関

脳はこれまでその機能的重要性や、脳と他の器官を隔てている血液脳関門の構造的特徴ゆえに、脳常在免疫細胞であるミクログリア以外には 免疫細胞がほとんどいない免疫特権を有していると長い間考えられてきた。ところが、近年の研究によりこれまで存在しないと考えられていたリンパ管 (免疫細胞の通り道)が脳内に存在することや、1細胞解析によって通常の成体の脳内にも様々な免疫細胞が存在することが明らかとなり、 脳内免疫細胞が脳内恒常性維持に貢献する可能性が指摘されている。更に、T細胞やB細胞がほとんど存在しない免疫不全マウスにおいて 様々な行動異常が現れることが示されており、免疫細胞が神経回路形成の重要な担い手であることが明らかとなってきている。 現在、「どの免疫細胞がどのような仕組みで脳内感染防御や神経回路形成に貢献するか」について世界中で精力的に研究が進められている。 我々の研究室では、脳内ウイルス感染や神経変性疾患及び精神疾患(自閉症や統合失調症など)においてどの免疫細胞がどのように病態発症(あるいは病態軽減)に貢献するか研究を行っている。


PUBLICATIONS

論文紹介

 

岡崎朋彦 

  
[原著]
   
NUDT21 links mitochondrial IPS-1 to RLR-containing stress granules and activates host antiviral defense
Saeko Aoyama-Ishiwatari, *Tomohiko Okazaki, Shun-ichiro Iemura, Tohru Natsume, Yasushi Okada, Yukiko Gotoh.
Journal of Immunology., 2021, in press, (*Corresponding Author)    

   
Peroxisomes control mitochondrial dynamics and the mitochondrion-dependent apoptosis pathway
Hideaki Tanaka, *Tomohiko Okazaki, Saeko Aoyama, Mutsumi Yokota, Masato Koike, Yasushi Okada, Yukio Fujiki, and Yukiko Gotoh.
J Cell Sci., 2019 May 1, 1132, jcs224766, (*Corresponding Author)    

   
The PDK1-Akt pathway regulates radial neuronal migration and microtubules in the developing mouse neocortex
*Yasuhiro Itoh, Maiko Higuchi, Koji Oishi, Yusuke Kishi, Tomohiko Okazaki, Hiroshi Sakai, Takaki Miyata, Kazunori Nakajima, and Yukiko Gotoh.
PNAS., 2016/05/24    

   
The ASK family kinases differentially mediate induction of type Ⅰ interferon and apoptosis during the antiviral response
*Tomohiko Okazaki, …, and Yukiko Gotoh.
Science Signaling., 2015/08/04, vol.8, ra78, (*Corresponding Author)    

   
Mitochondrial localization of the antiviral signaling adaptor IPS-1 is important for its induction of caspase activation
Tomohiko Okazaki, Maiko Higuchi and Yukiko Gotoh
Genes Cells., 2013 Apr 11    

   
Akt1 promotes focal adhesion disassembly and cell motility through phosphorylation of FAK in growth factor-stimulated cells
Higuchi Maiko, Kihara Rina, Tomohiko Okazaki, Ichiro Aoki, Shiro Suetsugu and Yukiko Gotoh
J Cell Sci., 2013 Feb 1, 126, 745-55
   
  
[総説]
   
An unexpected calm: Mfge8 controls stem cell quiescence and maintenance
Tomohiko Okazaki and Yukiko Gotoh.
Cell Stem Cell., 23, 311-312, 2018. Preview.
   
   
ASK family in infection and Inflammatory disease
*Tomohiko Okazaki.
Advances in Biological Regulation., 2017/10/14, (*Corresponding Author)    

   
ASK “to be, or not to be?”
*Tomohiko Okazaki.
Oncotarget., 2015/10/13, DOI: 10.18632/oncotarget.6105, (*Corresponding Author)

  
[図書]

「ウイルス感染細胞がたどる生死の分かれ道」
岡崎朋彦
「生命誌 -ゆらぐ-」vol. 91, 2017

「ウイルス感染に対するI型インターフェロン産生と細胞死誘導の使い分け機構の解析」
青山幸恵子、後藤由季子、岡崎朋彦
臨床免疫・アレルギー科68巻第一号, p57-63, 科学評論社 2017




 

森本菜央

  
[原著]
Efficient and robust induction of retinal pigment epithelium cells by tankyrase inhibition regardless of the differentiation propensity of human induced pluripotent stem cells
Arisa Ito, Ke Ye, Masanari Onda, Nao Morimoto, Fumitaka Osakada.
Biochemical and Biophysical Research Communications (2021) in press


Temporally multiplexed dual-plane imaging of neural activity with four-dimensional precision
Masanari Onda, Ryosuke F. Takeuchi, Keisuke Isobe, Toshiaki Suzuki, Yuji Masaki, Nao Morimoto, Fumitaka Osakada.
Neuroscience Research (2021)

   
Cell type- and layer-specific convergence in core and shell neurons of the dorsal lateral geniculate nucleus.
Sayumi Okigawa, Masahiro Yamaguchi, Kei N Ito, Ryosuke F Takeuchi, Nao Morimoto, Fumitaka Osakada.
Journal of Comparative Neurology. In press.

   
Reproducible production and image-based quality evaluation of retinal pigment epithelium sheets from human induced pluripotent stem cells.
Ke Ye, Yuto Takemoto, Arisa Ito, Masanari Onda, Nao Morimoto, Michiko Mandai, Masayo Takahashi, Ryuji Kato, Fumitaka Osakada.
Scientific Reports. 14387 (2020)


Multiplex neural circuit tracing with G-deleted rabies viral vectors.
Toshiaki Suzuki, Nao Morimoto, Akinori Akaike, Fumitaka Osakada.
Frontiers in Neural Circuits. (2020)


Polycomb component Ring1B regulates the timed termination of subcortical projection neuron production during mouse neocortical development.
Nao Morimoto-Suzki, Yusuke Hirabayashi, Kelsey Tyssowski, Jun Shinga, Miguel Vidal, Haruhiko Koseki, Yukiko Gotoh.
Development. 141(22):4343-4353 (2014)

RECRUIT

募集情報

■研究員


私たちの研究に興味のある方は岡崎までご連絡ください。


■技術補佐員


現在、技術補佐員を募集しています。

CONTACT

連絡先

〒060-0815 札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学 遺伝子病制御研究所
分子細胞生物研究室

岡崎朋彦
Tel:011-706-5525
Fax:011-706-5522
E-mail:okazaki@igm.hokudai.ac.jp