北海道大学遺伝子病制御研究所

研究成果

遺伝要因がピロリ菌感染の胃がんリスクを高めることを解明

遺伝要因がピロリ菌感染の胃がんリスクを高めることを解明 -ピロリ菌除菌によりその高まったリスクを低減できる可能性-


北海道大学遺伝子病制御研究所感染癌研究センターの畠山昌則特任教授(微生物研究会微生物化学研究所部長)、理化学研究所生命科学研究センターの碓井喜明特別研究員、桃沢幸秀チームリーダー、愛知県がんセンター研究所がん予防研究分野の松尾恵太郎分野長らの共同研究グループは、特定の遺伝子の病的バリアント保持者ではピロリ菌感染による胃がん発症リスクが高まることを明らかにしました。

共同研究グループは、日本の11,000人以上の胃がん患者群と44,000人以上の非胃がん対称群を用いた世界最大規模の症例対照研究を行い、9個の遺伝子の病的なバリアントが胃がん発症リスクに関連することを発見しました。さらに、これらの病的バリアントとピロリ菌感染情報を組み合わせた解析により、相同組換え修復機構に関わる遺伝子群(ATM、BRCA1、BRCA2、PALB2)の病的バリアント保持者は、非保持者と比較して胃がんリスクへのピロリ菌感染の影響が強くなることを明らかにしました。本研究成果は、胃がんのゲノム医療に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2023年3月30日にThe New England Journal of Medicine (IF 176.079)にオンライン掲載されました。

DOI:10.1056/NEJMoa2211807.